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TMU高大連携室スタッフ

Author:TMU高大連携室スタッフ
東京都立大学、高大連携室のブログ。イベント情報や、高大連携室でのできごとなど、活動記録を中心に掲載します。所属する教員・学生スタッフがそれぞれの視点からつづります。
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TMU高大連携室のスタッフブログ
~活動記録とお部屋でのできごと~
高校生の課題研究をサポートして感じたこと
こんにちは。院生スタッフの山崎です。
今回は、埼玉県立熊谷西高校で行われたニワトリ胚を使った課題研究でアシスタントをした時の感想を書きたいと思います。今回の課題研究はSSH(スーパーサイエンスハイスクール)事業の一環として行われました。SSHとは何か。SSHは文部科学省が科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を指定する制度です。これに指定された高校では、科学技術振興機構からの支援を受けて、課題研究や海外との交流を行っているようです。授業以外での先進的な学習活動を支援する制度だと私は捉えています。高大接続はこの事業の目的の一つのようです。

熊谷西高校はSSH指定校で、高校1年生が課題研究を行っています。この課題研究の1つとして、首都大学東京の福田公子准教授がニワトリ胚を使った課題研究の指導を行いました。私はその指導をサポートする形で関わらせて頂きました。

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熊谷西高校は籠原駅から徒歩10分くらいの所にありました

6月初旬、研究を行う前に、まず研究で使うニワトリ胚を観察しました。有精卵を37℃で1日 or 2日暖め、1日胚と2日胚を観察しました。心臓が動いている様子が観察できると、「胚が生きていることを実感する!」と多くの生徒が感動していました。写真は6日間暖めた時のニワトリ胚です。黄色い所が卵黄で中心の赤いものが胚です。これが卵黄の栄養を使ってヒヨコになります。

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参考写真:6日間暖めたニワトリ胚

胚を観察したら、どのようなことが知りたいか考え、仮説を立てて研究テーマを決めました。4−5人が1班となってそれぞれの班で、研究のテーマを考えました。心臓の拍動数と温度の関係・内胚葉前縁の細胞が将来どこに寄与するのか?といったことがテーマとして挙げられました。

研究では実験で使う試薬も自分たちで作ります。ここが今までやってきた実習の実験とは大きく異なる点だと思います。実習だと先生が試薬を全て用意してくれます。一方、研究では、自分たちで試薬を作る為、濃度計算が理解出来ていないと、試薬すらまともに作れません。つまり、実験のスタートラインにも立てないのです。

メニスカス・ガラス器具の使い方・濃度計算など、今まで理科・数学で習ったことを試薬作りでは総動員する必要があります。例えば、メスシリンダーで液体の量を適切に測れていないことを私が指摘すると、「確かに!教科書に書いてあった!」と反応していました。この時、彼らは実践を通して、教科書で学んだことを本当の意味で”理解”したのだと思いました。結局、手助けしながらも試薬作りだけで半日かかりました(^_^;)。

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実習中の様子

主に夏休みの間に自分たちで立てた仮説を検証する実験を行いました。休日に先生に付き添ってもらったり、夜遅くまで残って実験をしていたそうです。実験結果はうまくいかない班が多かったと思います。大学生が行ったとしても、自分で組んだ最初の実験はだいたい失敗します。ここで、なぜ失敗したか?失敗から何が分かるか?を考える事ができるかが大事だと私は思います。

そんな失敗した実験データを携え、研究の中間発表会を行いました。今回は同じくニワトリ胚を用いて課題研究を行っている都立両国高校との合同で行いました。彼らにとって、別の地域の高校生と合同で何かするという機会は珍しいと思います。お互いの簡単な自己紹介をした後に、1班ずつ自分たちの研究について発表してもらいました。その後、お互いに意見・質問を出してもらいました。私が想像していたよりも的確な意見・質問が飛び出し、しっかり考えていると関心しました。

しかし、多くの班の発表は聞く人を意識していないわかりづらい発表でした。パワーポイントでそれらしい発表を作ってきても、全く伝っていないということが質問内容から発表者自身でも分かったと思います。実際、何が言いたいのか私には殆どわかりませんでした。加えて、自分達自身も分かっていない部分が質問されることで明らかになったと思います。再生・治癒・体制などの言葉は定義・区別がむずかしく、しっかり理解出来ていなかったようです。

中間発表を踏まえて、再び研究・実験を見なおしたり、発表の反省をしました。この後、あまりに両国高校での実験成功率が低いので、両国に技術指導に行きました。どうやら、実験手技が明らかに間違っているため低い成功率だったようです。この時、研究についての議論も行いました。その中で、両国高校の生徒から「熊西の人たちはどう考えるかな?」という発言があり、2つの高校が合同で発表会を行うことで客観性が研究に取り入れられるようになったと感じました。

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両国高校での実験の様子

10月にまとめの発表会を再び熊谷西高校と両国高校合同で行いました。

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最終発表会&懇親会@両国高校の様子

発表を聞くと、どの班も最初の頃に比べて、研究の考え方が飛躍的に論理的になっていて驚きました。例えば実験群と対照群を用意する、実験操作の程度やその結果を定量的に表す等です。また、発表自体も質の高い発表になっていました。聞く人を意識したスライド作り・発表になっていたと思います。質疑も時間を超過するくらい活発に行われました。質問を思いついて、聴きたくてたまらないという様な笑顔で質問までの順番を待っていた男子が印象的でした。

最後に、感想を聞きました。
2つの学校で合同で行うことで、お互いを良きライバルとして認識し、研究を進められたようです。また、自分たちと違う意見を言ってもらえることが、新鮮で良かったらしいです。この研究で培った考え方や、問の立て方を普段の授業でも実践してみようとする人もいました。ほとんどの人が貴重な経験ができて良かったと言っていました。これらの感想から、合同で発表会を行ったことが両方の高校生にとって非常に良い影響を及ぼし合ったと考えています。

私は、技術的支援・研究へのアドバイスという形で今回の2校での課題研究に関わらせてもらい、高校生の成長に非常に感動しました。具体的には、この研究を通して、論理的思考能力と説明能力が飛躍的に向上したと考えています。自分たちで仮説を立て、検証・評価し、意見をもらい改善するというプロセスが彼らを成長させたのではないかと思います。この経験から、大学のリソースを使って高校生の課題研究のサポートをする事は理想的な高大連携の形の一つであると私は感じました。

高大連携室院生スタッフ 山崎卓哉
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