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Author:TMU高大連携室スタッフ
東京都立大学、高大連携室のブログ。イベント情報や、高大連携室でのできごとなど、活動記録を中心に掲載します。所属する教員・学生スタッフがそれぞれの視点からつづります。
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TMU高大連携室のスタッフブログ
~活動記録とお部屋でのできごと~
大学院生インタビューNo.2 根元裕樹さん(地理学専攻)
7月がはじまり、暑さが一段と増しましたね。熱中症にかからないように水分補給を十分にとって、適度にクーラーも使用して下さいね。

第2回目の大学院生へのインタビューは、「日本地理学会賞」(優秀論文部門)を受賞された、
根元 裕樹(ねもと ゆうき)
さん(2012年都市環境科学研究科学域修了)です。

根元さん

根元 裕樹さん(クリックすると画像が拡大します)



根元さんの賞状

根元さんが受賞された日本地理学会賞の賞状


 院生スタッフの坂口が、根元さんに研究内容、研究に関するエピソードや大学生活に関するお話を伺いました。Q&A形式で、その一部始終を掲載します。

○地理学専攻、研究について

坂口: この度の受賞おめでとうございます。さっそくですが、質問に入りたいと思います。
なぜ、地理学専攻を専攻されたのでしょうか?

根元さん:自分の関心としては、地図・歴史・プログラミングがありました。しかし、いろいろ調べてみたのですが、この3つを全て学べる学部・学科はありませんでした。そんな中、本学の地理環境コースを見つけ、地理情報学(GIS)の研究室があり、地図とプログラミングに触れることができると考え、進学先として選びました。

坂口: 受賞された研究テーマを教えてください。
根元さん洪水氾濫シミュレーションを用いて信玄堤の各治水施設が同一の治水計画に基づいて築かれたかを考察しました。信玄堤というのは山梨県の富士川水系の釜無川と御勅使川の合流部付近で見られる治水施設群のことを指し、武田信玄が戦国時代に築いたと伝えられています:

坂口: なぜこの研究テーマを選んだのですか?
根元さん: 信玄堤は従来、歴史学の研究対象とされてきました。その研究の過程で信玄堤が武田信玄により治水のために築いたという概念が否定されつつありました。その一方で、ほぼ唯一の自然科学的研究対象として、治水施設群は治水システムとして成り立っていると結論づけられてきました。そこで、私は、改めて信玄堤がそのような思想によって作られた治水システムなのか、つまり本当に信玄が築いたものなのかを調べるために、信玄堤の研究ではこれまで用いられてこなかった洪水氾濫シミュレーションという自然科学の手法でアプローチすることにしました。

坂口: 今回受賞された研究はどのような背景から取り組もうと思われたのですか?
根元さん:大学入学後には、自分の関心のある地図とプログラミングについて学びました。さらに、歴史についても研究対象にできるテーマを探しました。そこで見つけたのが、歴史的なテーマでありながら、実質的には、堤防という土木工学的な内容を含んだ信玄堤でした。堤防=洪水は、近年話題になっているハザードマップを作るためにシミュレーションが行われていることを知っていたので、信玄堤ならば、地図・歴史・プログラミングの全てを満たせると考え、卒業研究のテーマで選びました。

坂口:どのように研究を進めたのですか?
根元さん: 最初に現地に出向きましたが、治水遺跡群の巡検が中心でした。その後はコンピューターシミュレーションによる解析で研究を進めました。信玄堤は、複数の堤防の総称なので、それらの配置の組み合わせを変えて、洪水氾濫シミュレーションを行いました。さらにそれらの結果を先行研究と史料の内容を加味しながら、考察を行いました。

坂口: 今回の受賞は研究のどこがポイントになったのでしょうか?
根元さん: シミュレーションの結果と史料に遺されている内容から、信玄堤は武田信玄が築いた一つの巨大治水システムだったのではないかという結論を導くことができました。このようにして、従来、歴史学の分野で行われてきた研究対象を、私が自然科学的な手法を用いて、地理学としてまとめ上げたことが今回、日本地理学会賞(優秀論文部門)を授賞した理由であると考えています。また、地理学だからこそ、それができたと言えるでしょう。


根元さんの研究図1

信玄堤の位置・調査フィールド


○進路について

坂口: 根元さんの進路についてですが、大学院に進学した経緯や院生時代のエピソードなどをお聞かせください。
根元さん:専門職に就きたいと考えていました。そのためには学部4年間では不十分で、大学院で専門的な技術を学ぶことが必要と考えて進学しました。大学院では専門的な技術を身に付けるために進んだつもりでしたが、今、振り返ると自ら進んで、「研究」したことにより、さまざまな専門的な技術も得られたと感じています。
また大学院では誰かに教えてもらうというよりは、自分で色々調べた知識を用いることが多かったです。例えば、研究室の後輩への質問に対応するにもさまざまなことを調べますよね。そうして大学院入学後は自分で身に付けた知識で、考えていくことが多くなったと思います。それも卒業論文をきちんとやり遂げ、学部で土台を築くことができたからだと思います。


○課外活動について

坂口:研究活動以外ではどのようなことをして過ごしていましたか。
根元さん: 自分は興味が色々なところにありました。学内のコンピューター教室の学生アシスタントや高大連携活動も一部携わりました。また教員資格も取り、中学・高校の理科と社会の両方の教員免許とさらに学芸員資格も取得しました。自分が面白そうと思うものは全てやってきました。

坂口: 高大連携活動にも携わっていたとのことですが、そのきっかけはなんですか。
根元さん:母校である都立町田高校での教育実習の際、同じく実習に参加していた本学の生命科学コースの学生からお話を聞いたのがきっかけです。それで、2010年、2011年の2回、「都立町田高校の大学での学び講座(首都大で開催された)」で高校生に向けてお話をさせてもらいました。

○最後に

坂口:高校生へメッセージをお願いします。
根元さん: 楽しいと思うことをやってください。誰かに言われなくてもやってしまうことを、どんどんやれると良いですね。 
自分でやっていて楽しいことは続けられます。だから、高校生の今のうちに何が楽しいかを探すことが大切ですね。



根元さんと坂口さん図2

インタビューの様子(左:根元さん、右:高大連携室スタッフの坂口)


<経歴>
根元 裕樹(ねもと ゆうき)
2005年3月東京都立町田高等学校全日制普通科卒業
2006年4月首都大学東京都市環境学部地理環境コース入学
2010年3月同卒業
卒業論文のテーマ:洪水氾濫シミュレーションを用いた信玄堤の治水能力の再評価
2010年4月首都大学東京大学院都市環境科学研究科地理環境科学専攻
2012年3月同大学院修了
修士論文のテーマ:洪水氾濫シミュレーションを用いた備中高松城水攻めに関する研究
現在は、民間企業で地理情報を用いた業務に従事


<編集後記>
 同じ地理環境コースの先輩をインタビューするというのは不思議な感覚でした。根元さんが在籍していたころは、いろいろお話を聞かせていただいていまして、信玄堤の研究についても前から取り組まれていることは知っていました。その研究が、日本の地理学で最も権威のある日本地理学会から受賞されたのは、非常に感銘を受けたとともに、私自身、優秀な方々の中で学ばせていただいているのだと改めて実感をしました。そんな先輩方に自分も負けないように努力していきたいと感じました。お話にありました、研究したからこそ、「技術」が得られた、というエピソードは大学院生に大切な示唆が含まれていたと感じます。また、これは学部生にも言えることで、日々の授業を大切にし、レポートや討論に一生懸命取り組むことで、後から、色々なスキルが身に付くのだと思います。また、これを読んでくださった高校生のみなさま、少し内容は難しかったかもしれませんが、大学では、このような研究ができるのだという雰囲気を感じていただければ幸いです

根元さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました。

インタビュアー:坂口 豪(高大連携室 大学院生スタッフ)
2012年3月 首都大学東京都市環境学部地理環境コース卒業
2012年4月より 同大学院観光科学域にて博士前期課程在学中

記事掲載:学生スタッフ




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